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トランジスタのロットによる音の違い

更新日:2022年1月17日


パラレル・ワールド5+ でも述べましたが、NECの2SA1006 / 2SC2336 を,よく使っていました。1990年の 5Wアンプの頃からです。


このペア、輝かしい高域とか、迫力の低音とか、ワイドレンジとは、まったく相反するサウンドです。中音域の充実感、オーボエやファゴットなどの木管楽器の色彩感、ヴァイオリンやチェロの音色といった、オーケストラの一番重要な帯域の色彩感が優れていました。分解能も高く、楽器それぞれの音の差を表現してくれます。ですから、オケが表情豊かに響きます。そして、楽器がはっきりと聞こえるのと同じく、人の声のディテールを表現してくれます。ですから、女性ボーカルがなまめかしい。わずかな声の色の違いを聞かせてくれます。


80年代前半に購入したモノは、写真の左上です。2SA1006はブルー、2SC2336はグレーのパッケージでした。このNECの淡いブルーとグレー。いいですよね。いい音がしそうな雰囲気があります。で、ほかにもいろいろと試しました。が、よくないモノもいろいろありました(笑)。


80年代後半頃からか、パッケージは右上のグリーンとブラックに変わりました。手触りからは、樹脂の質も変わったように思われます。でも、このグリーンは、あの頃の東芝のトランジスタと見分けがつかなくなりました。それよりみっともないのが、npnの文字。もっとまともに印刷してほしいですよね。


パッケージの色が悪くなって、文字もぼやけて安っぽくなった、と不満でした。でも、音は悪くなってないだろう。と考えて作ったのですが、音が違う。えっ!と思って交換するとたしかに違う。きれいなブルー/グレーのほうが、ほこりをかぶったような、くすんだ音に、言い換えれば、緑/黒のほうが、ヴェールを剥いだような、鮮度の高い音に聞こえます。


人は見かけに・・・、じゃあなかった、トランジスタは見かけによりません。


90年代前半でしたでしょうか、NECがトランジスタの製造を止めると聞き、うわっ、と大人買いしました(いまも押し入れに200個くらいあります)。そのときのパッケージは下のモノです。黒と黒。聞いてみると、黒/黒は、緑/黒よりも、よりクッキリとした解像度の高い音です。


中身のチップも、製造条件が変わっているでしょうから、まったく同じモノではないでしょう。ですので、パッケージの樹脂が音を違えた理由だとは断定できません。でも、ロットによって音が異なるとは・・・。


厄介なことに気づいてしまいました。


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