トランジスタの音の違い:2SA950編おまけ
- Toshiyuki Beppu
- 2021年9月6日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年1月17日

2SA950 / 2SC2120のブログを見てくれた畏友Yより、「この写真の 2SA950 はレーザー焼き印で、2SC2120 は白インク印刷ですね。我が家の 2SA950 / 2SC2120はロット番号がどちらも8J で、印刷でした」と連絡がありました。
えっ!写真を見ただけで印刷とレーザー刻印の違いを見分けるとは。恐ろしい眼力の持ち主です。そう言われて、老眼鏡と拡大鏡をとおして・・・。それではなくて、ニコンのマクロレンズで撮影したファイルをディスプレイで拡大してわかりました。レーザー刻印のほうは、文字のエッジが荒れていません。文字にでこぼこ感もありません。
「興味があればサンプルを送ります」。はい、お願いします。届いた8Jロットの 2SA950 は印刷が右上がりになっているところまで、8Jロットの 2SC2120 とそっくりです。
せっかくですから、プッシュプルのエミッタフォロワを組んで試しました。こちらのやり方のほうが、電圧安定化回路で聞くよりも信号系に直列に入りますので、差はわかりやすい。

この回路の Q3 と Q4 がプッシュプルを構成します。このトランジスタそれぞれに、ダイオード接続された Q1 と Q2 がバイアス電圧を供給します。この回路のポイントは、Q1とQ3、Q2とQ4を熱結合することです。Q1とQ2には、R1とR2からコレクタ電流が供給されて、ベース・エミッタ間電圧VBEが決まります。このVBEをQ3とQ4に加えてコレクタ電流を決めるのですが、Q1とQ3、Q2とQ4の温度が同じでなくては、あっという間に熱暴走して壊れます。
そこで、2SA950同士、2SC2120同士の平行面をアロンアルファで接着して使います。試作ボードを示します。回路図には入っていませんが、発振止めのディップマイカCを入力抵抗Rinと並列に、それから、入力Vinと出力Voutの間に入れています。抵抗は、音に大きく影響するRinはNS-2Bとして、それほど影響しないR1とR2はふつうの金属皮膜です。Preci-dip の IC ソケットでトランジスタを差し替えます。

2回路を作るのは面倒なので、モノラルでの比較です。回路や素子の音色比較では、いつもモノラルでテストしています。入力には、NS-2Bを使った特製モノラル変換プラグを入れます。出力は2個のジャックを付けていますが、モノラルで左右のスピーカを鳴らします。モノラル録音のCDも何百枚か持っていますが、いつも左右両方のスピーカで鳴らしていますので、違和感はありません。2SC2120 はそのままとして、2SA950 のみを差し替えて比較します。
結果です。違いは聞こえません。きっと、印刷機だけが更新されて、他の製造装置はそのままだったのでしょう。
めでたし、めでたし。