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パラレル“バッテリー”ワールド7製作記を公開しました

更新日:2022年12月27日


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 いつもそうですが、何か気になることがみつかると、比較試聴します。面倒でも、音は聞かなきゃわからない。あーでもない、こーでもない、とCDを聞きながら準備作業をします。たいてい、配線が終わったときには深夜です。ですので、翌日に比較します。(動作確認も翌日です。動かないと寝られなくなりますから)。翌日は、昨夜に“ながら”で聞いていたCDがプレーヤーに乗っていますので、それをそのまま試聴に使います。つまり、昨夜の音の記憶と比較になるのですが、ほぼ、音を出した瞬間に判断はつきます。


 それでも、必ず配線を元に戻して聞きます。


 新しいアイデアのほうが「よい」と感じたときも、「よい」と感じた要素を、いままでの装置で聞いたときに「よくない」と感じるかどうかを確認します。これは、どれだけの差であったかを再確認するためでもあるのですが、戻したときに「わるくはない」と判断を覆したこともあったからです。

 あるいは、新しいアイデアが「劣る」と感じたときも、戻して聞いて、いままでの装置でその要素に「優れている」ことを確認します。

 もちろんのこと、新しいアイデアを聞いても、戻して聞いても「差のわからない」こともあります。じつのところ、考えに考えたあげくに試みて「差が聞こえない」ことが少なくありません。こうなるとやっかいで、聞き慣れたCDを引っ張り出しては、どうだろうと確認作業です。それでもわからなければ「どっちでもよい」。


 このように試聴しますが、新しいアイデアを採用する確率は1/3、却下する確率も1/3、どっちでもよいの確率が1/3、といったところでしょうか。


 バッテリー電源のアイデアは、よかったほうの代表です(他に比較した2種のバッテリーはよくなかったですけど)。バッテリーワールド7を使ってくれている友人は『聞く時間による音の差がなくなった』と喜んでいます。商用電源に係わる要素を排除できるところが、バッテリーの最大のメリットでしょう。(あとは、どれだけの耐久力があるか?)

 失敗だったアイデアは、電源ケミコンのKMHを省略できると思ったことでしょう。バッテリーなのだから電圧波形にリプルはありません。だったら入れなくてもいいかな、と安易でした。それと、製作にかかる前に比較試聴しておかなかったのが、さらなる失敗でした。配線を外して、バッテリーを降ろしてのシャーシの追加工に、かなりの時間を取られました。

 それから、バッテリー充電に使うACアダプタの切り離し回路。「片切り」でよいかと考えたことも失敗でした。基板を作って組み立てて、それからアダプタのジャックを引っこ抜いたら音がスキッとします。「両切り」にするため、基板は作り直しとなりました。

 このアンプを作るときには、どちらでもよかったアイデアはなかったのですが、それ以前の、スピーカ端子への接続をハンダ付けにするか圧着端子にするか、圧着端子も銅製金メッキかアルミか、アンプ基板への直流ラインの配線材を何にするか、太さをどうするか、などなど、どちらでもよかった経験は反映されています。


 もちろん、このアンプにも、それまでのよかった経験をすべて盛り込んでいます。MUSES 03、Vishay-Daleの無誘導巻線抵抗、MPK1840フィルムキャパシタ、シルバードマイカ。これら基板上のパーツも比較試聴によって選びました。配線材、入力RCAジャック、スピーカ端子。これらの基板外パーツも、それぞれいくつも聞いて残ったものです。配線の引き回し方は、音だけでなく安定性にも影響します。それから、真鍮シャーシと真鍮サブパネルとデッドマスは、音像の明確さを向上させます。一度試みたら止められません。

 そして、真鍮基板。音場を静かにして、より細かい音までも聞かせてくれます。相当に手間を要するので、回路が決まるまでは手を抜きますが、決まったときには欠かせない要素です。


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 パラレル“バッテリー”ワールド7。完成までに時間を要しましたが、私の選択の積み重ねです。それだけの音になったと己惚れています。


 製作記から音は出てきませんが、ご笑覧いただければ嬉しいです。


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