ゲインを欲張らない
- Toshiyuki Beppu
- 2021年4月24日
- 読了時間: 2分
更新日:2022年6月28日

ヘッドホン・ドライバの回路定数を変更しました。変更箇所は下図のとおりです。ゲインを20.8 dBから10.0 dBに下げました。ヘッドホンを使って -15 dB より上げたことがなかった ためと、わずかですがハムノイズが聞こえたためです。
ゲインを下げたことによって、私の部屋でAKG K 242 では、ハムノイズは聞こえなくなりました(齢ですので高域はかなり落ちているでしょうが、低域は大丈夫のはずです。まだ聴力検査で引っかかったことはありません)。パワーアンプ(+20 dB)のアッテネータとして使った状態では、89 dB/W のウーファから 30 cm 耳を離すとハムノイズは聞こえなくなります。

話は変わりますが、前世紀に、「アンプのボリュームは10~11時あたりの、12時より絞った位置で使うのがよい」との説を読んだことがあります。その人によれば、そのあたりだと -10 ~ -20 dB ほど絞られているので、それだけアンプの余裕が増えてダイナミックレンジが確保できるとか、なんとか。
こんなアホみたいな説を、本人は真面目に考えているのでしょうねえ。アンプの最大出力は、ボリュームの位置で変わることはありません。100 Wのアンプなら、ボリュームが9時でも12時でも3時でも100 W 出せます。どこのボリューム位置であろうとクリップしないのなら、それはピークの出力が 100 W に達していないのであって、そのピークからクリップレベルまでの電圧は、ボリューム位置には関係しません。アホなことを考えるなあ、と、友人と笑い飛ばしました。
ネット検索しましたが、いまでもこの手のデタラメ説はあるようです。「ボリュームは12時のあたりが音がよい」とか「最大で使うのがよい」とか。ボリュームは音量調節をするものなのですから、聞くのに適切な音量にして使うものですよねえ。意味不明だ。
まあ、ボリュームの回転角を気にしても、音楽を聞くのに邪魔になるだけです。どんなアンプでも、残留ノイズを発生します。したがって、S/Nがもっともよくなるのは、ボリューム位置最大です。これは、EVRでも機械式ボリュームでも同じです。最大にしたときに、ヘッドホン(スピーカ)から再生された音が大きすぎるなら、ボリュームで絞るよりもアンプのゲインを下げた方が、S/Nの点からは有利です。
私がヘッドホン・ドライバのゲインを下げたのは、たんにゲインが不要であったからです。ハムノイズを抑えた分、S/N も改善しました。